居酒屋の開業について
お酒を飲むことが好きで、いつか自分の居酒屋を持ちたいとお考えの方は少なくありません。お気に入りの日本酒や焼酎を並べて、ぴったりのおつまみを用意する。酒好きの夢といえるかもしれません。居酒屋は、比較的初期費用がかからないので、飲食店としては開業しやすい部類に入ります。その上、利益率も高いという魅力があります。
もちろん、だからこそ競争率は激しく、お得意さんを確保するためには、相当な営業努力をする必要があります。夜遅くまで働くことになりますので、体力的にも厳しい商売です。この記事では、居酒屋を開業するためにやるべきことについてまとめています。近い将来、居酒屋を始めよう、居酒屋のビジネスに興味があるという方は、ぜひ参考にしてください。
居酒屋経営の魅力とは

居酒屋を始めるメリットのいくつかは冒頭でご紹介しました。居酒屋は、飲食店としては初期費用があまりかからず、しかも利益率が高いので、儲けが出しやすいのです。しかも居酒屋はほとんどの場合、現金商売なので、すぐにお客さんに出したお酒や料理を現金として回収できます。必ずしもビジネスを大きく展開している居酒屋がビジネスを有利に進めるというわけではなく、小さな居酒屋でも、戦略により十分に市場で戦えることも魅力だといえるでしょう。
もちろん、ライバルがたくさん存在しているという現実は無視できません。しかし、居酒屋ビジネス自体、お客さんあってのものなので、ライバルの存在は必要不可欠ともいえます。
そのたえ、居酒屋を開店するうえで、ロケーションは非常に重要です。どんな顧客層をターゲットにするのか、ロケーションと結びつけて、経営戦略をしっかり練らなければ成功はありえないでしょう。
ちなみに居酒屋の開業に当たっては、特別に何か免許が必要なわけではありません。飲食店には必ず求められる、食品衛生管理者の免許がない場合のみ、講習を受けて取得しましょう。そのほか、24時以降も営業するのであれば、深夜酒類提供飲食店営業許可が必要です。
居酒屋の営業形態を考える

居酒屋を開業する際は、大きく「自力で開業する」「フランチャイズを利用する」という2つの方法に分けられます。
自力で居酒屋を開店させる場合は、当然ながら、すべてを自分でやらなければなりません。もちろん、これが魅力でもあります。どんなお酒やつまみを準備して、店の内外装はこんな雰囲気にして…など、決めるのはすべて自分です。
楽しみでもあり、とても面倒な作業でもありますが、このプロセスなくして店を持つ喜びは感じられないと考えるべきでしょう。居酒屋は人気のビジネスではありますが、同時に入れ替わりの激しい世界でもあります。開店する居酒屋があれば、閉店する居酒屋もたくさんあります。そのため、居酒屋向きの居抜き物件はたくさんあります。自力で居酒屋を開店させる場合は、このような物件を有効に利用すると、さらに初期費用を抑えられるでしょう。
フランチャイズを利用する場合は、内外装を自分好みにすることは、ほぼ不可能です。事業のやり方にしても、フランチャイズに従わなければなりません。しかし、自由度は少なくても、フランチャイズ側が持つノウハウを利用できるわけですから、特に初めて居酒屋や飲食店を持つという方にとっては、そのような貴重なノウハウを利用できることはとてもありがたいことです。
コンセプトやテーマに合致した物件を選ぶ

居酒屋と一口に言っても、そのスタイルはたくさんあります。どのお店にもコンセプトやテーマがあり、それぞれが店作りに努力しています。「大人数での宴会がやりやすい居酒屋」「仕事帰りにふらっと立ち寄れるアットホームな居酒屋」「あまり目立たないけど入ってみるとすごい的な居酒屋」など、そのコンセプトやテーマは千差万別です。そして居酒屋を開店する前にとても重要なのが、このコンセプトやテーマに合致した物件を選ぶことです。
物件探しは、居酒屋の開店を目指す方にとって、なかなかの障壁です。物件の良し悪しは、集客にダイレクトに影響を及ぼすため、自力ではなかなかよい物件が見つからない場合は、プロにヘルプを求めることも考えましょう。飲食店を専門に扱う業者やコンサルタントに相談すると、比較的早く候補物件が見つかる可能性があります。ただし、コンセプトやテーマを曲げて物件を選んではいけません。
出店を予定する街にはどんな居酒屋があるのかリサーチしておくことも大切です。リサーチを進めていく内に、この街ではコンセプトやテーマを変えなければならないということに気づくこともあります。街を観察すると、ヒントは必ず見つかるので、じっくりとリサーチしてみましょう。
ただ、立地条件がよい物件は、どうしてもすぐに借り手がつくので、このような物件が見つかったら、可能であれば手付金だけでも支払って押さえてしまうという臨機応変さも時には必要です。
居酒屋開店のための資金はどうする?

居酒屋は、飲食店の中では比較的始めやすいビジネスです。開店時にそれほど多くの資金を必要としないことも、その理由のひとつです。しかし、いくらなんでも自己資金をある程度は用意しないとさすがにビジネスを始められません。居酒屋を始めるには、どの程度の資金が必要なのでしょうか?
自己資金は300万円が目安
居酒屋開店のための資金の内、自己資金は少なくとも300万円を目安に用意しましょう。自己資金は、開業資金の3割強と考えて、残りを融資でまかないます。金融機関からの融資を600~700万円程度と考えましょう。
居抜き物件ではなく、内装からすべて工事を行わなければならない場合は、かなりのお金がかかります。また、厨房機器もかなり高額なので、当初は中古機器やリースを利用するなどすると費用が抑えられます。
メニューや看板の準備

メニューはともかく、看板などの準備は、開店がかなり現実的になってからでも構いません。看板は、集客においてとても重要な要素になりますので、実用性や効果を考えながら、予算内にうまく収まるよう、努力しましょう。
メニューを決めるのも大事な作業です。すでにある程度、頭の中にメニューはあると思いますが、現実的には食材ロスなどを考慮しなければなりません。居酒屋を代表するメニューのほかに、ベーシックなメニューや、オーダーしたくなってしまうメニューなどを、食材ロスを2%程度に抑えられるように考えていきます。
広告宣伝

開店の準備が整ったら、広告宣伝を行います。現在、広告宣伝の手法は多彩で、チラシなどのアナログ媒体のほか、SNSやインターネット広告なども利用可能です。チラシなら、その気になれば自分でも作れますし、費用もそれほどかかりません。アナログの広告媒体の効果は、インターネット広告が全盛の現在でも強力です。
インターネット広告と合わせて利用することで、優良顧客を集めることができれば、コストパフォーマンスは抜群だといえます。有料のグルメ紹介系サイトへの登録を検討してもよいのですが、意外にコストがかかるので慎重に検討したほうがよいでしょう。
楽しい雰囲気があふれる居酒屋、お客さん全員が癒やされる居酒屋など、居酒屋には心地よい空間であることが求められます。余裕をもって資金を準備して、コンセプトやテーマ作りをしっかり行い、物件を探す…結局は居酒屋の開店で大切なのは「準備をしっかりする」ことなのです。自力で開店するにしても、フランチャイズに加盟するにしても、ひとつの店を作り上げることはかんたんではありません。だからこそ喜びも大きいのです。